INTERVIEW Vol.9

研究開発顧問 長尾公明

現場を軸に留学経験を活かした商品開発で
日本の食文化に新しいおいしさを

現場を軸に
留学経験を活かした商品開発で
日本の食文化に新しいおいしさを

注目の産地だったカリフォルニアで
科学的に追求したワイン醸造に触れる

大学で農芸化学の微生物を専攻していた私は、その能力を活かせると考えワイン造りの道に進みました。最初は現場で醸造を経験した後、81年から2年間、アメリカのカリフォルニア大学デービス校へ留学しました。そこにはワイン醸造の研究機関があって、ワイナリーと強いつながりが魅力的でした。それまで当社では、ボルドーやドイツへ留学することが多かったのですが、カリフォルニアワインの品質がどんどん向上してヨーロッパと遜色ない評価を得始めたころで、ワイン造りに対する考え方を知る機会になりました。大学では栽培や醸造現場のことを学問的に解析し、また現場にフィードバックする環境が整っていて、そこに技術的進歩の早さの要因があったのではないでしょうか。

キッコーマングループの強みを活かした
商品開発に専念し数多くの特許を取得

帰国後4年間は醸造に携わり、カリフォルニアで学んだことを現場に伝えて改善を重ねていきました。先輩から教わったことを忠実に踏襲してきた現場に海外で学んだことを伝えると、みるみるうちに改善される環境にあったと思います。とにかく新しいことを開発部門だけでなく現場でも検証し、効果があればどんどん取り入れていきました。それによって翌年には商品化できるようなスピーディーさがありました。マンズワインの特許の多くはこの時期に取得したものです。キッコーマン独自の製法も活かしてにごりワイン、ワイナリー内だけで提供できる発酵途中の生ワインなども商品化しました。私は醸造そのものより研究開発に適性があったようで、その後もずっと商品開発に携わってまいりました。

留学経験を現場にフィードバック
マンズワインに受け継がれる伝統

現在、マンズワインのヒット商品にまで成長した「酵母の泡」も、そうした開発の現場から生まれています。スパークリングワインの発酵試験用のタンクで、酵母が造り出した美しい泡を偶然見つけたのがきっかけです。「この製法なら新たな設備投資なしで商品化できそうだ」と思い、試行錯誤を経て翌年には商品化されました。もちろん開発中に困難な課題もありましたが、解決方法は現場から見つけられるものです。マンズワインの技術職は、入社後最初に現場で醸造を経験します。その後、留学などで学んだ知識を再び現場に持ち帰って活かす。これが脈々と続くことがマンズワインの人材育成なのではないでしょうか。私たちはキッコーマングループのワインメーカーであることを誇りに、“食品として貢献するワイン”という商品開発も必要です。加工品の原料として、調味料として使われるBtoBの側面を持つワインもあります。これらに関しても特許を取得して、こだわりを持って商品開発をしてきました。今後ますますワインメーカーとして、勝沼ワイナリー・小諸ワイナリーを中心に発展していくことを願っています。

PROFILE

長尾公明(ながお こうめい)

マンズワイン株式会社 研究開発顧問。1977年マンズワイン株式会社入社。アメリカカルフォルニア州U.C Davisでワイン醸造学を学ぶ。2000年代に研究開発部門の責任者を務め、現在同部門の顧問として研究開発業務に携わる。