INTERVIEW Vol.8

栽培担当 曽田淑木

甲州とマスカット・ベーリーA
日本独自の品種で「日本ワイン」を極める

甲州とマスカット・ベーリーA
日本独自の品種で
「日本ワイン」を極める

長年売ってきたマンズワインを
ぶどう作りから支えたい

実は、私は勝沼に来てまだ1年半なんです。マンズワインの親会社であるキッコーマンで、商品開発、営業、宣伝といろいろ経験させてもらい、58歳でマンズワインに出向することになったときに「ぜひ栽培をやらせてください!」と自ら希望しました。マンズワインは2015年に勝沼ワイナリーのまわりの畑を購入し自社畑が増えていたため、希望が叶い、初めてのぶどう栽培を1シーズン経験したところです。長年営業職でワインを売ることに携わってきて、良いワインを造るには、良いぶどうが必要だということは感じていました。これからはそのぶどうをしっかり作る仕事をしたいな、と思ったんです。畑仕事は肉体を酷使する仕事です。好きじゃなければできない。今、それをできることが幸せです。

甲州とマスカット・ベーリーAが
日本の普段の食事に合うことを実感

もともとワインを飲むのは好きなのですが、実は東京にいた頃は日本ワインはあまり飲んでいなくて…。勝沼に来て自社製品だけでなく他社のワイナリーのワインも飲んで気付いたのは、日本の食事には甲州とマスカット・ベーリーAが本当に合う、ということです。どちらもOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録された日本独自の品種。世界で人気の和食とともに、日本固有品種で造る日本ワインを一層アピールできたらと思います。「お寿司や刺身にはやはり甲州」、「ベーリーAの甘い香りはしょうゆに合うね」と認知してもらったら「この国でも栽培してみよう」という日が来るかもしれない。その前に、まずは日本の皆さんにもっと、甲州とベーリーAの魅力を伝えなければと思います。

我が子のようなぶどうを
仲間と収穫しながら感じた多幸感

毎日飲みたいと思ったら、日本ワインは確かに割高です。安くておいしい輸入ワインなんていくらでもあるわけですから。どんなに効率化してコストを削減したところで、畑の規模も、人件費も違うので価格では太刀打ちできません。和食にぴったり寄り添う味わいの固有品種で独自性を出していくことが日本ワインが生きていくひとつの道ではないかと思います。ワイナリーのまわりの畑は平地なので、まだ機械でできることもありますが、その他の畑の大部分が傾斜地、それもかなりの斜度です。機械は入れないので、多くが手作業。斜面での農作業は体力のある若者に向いている仕事です。これからの日本ワインを担っていく存在として、「栽培をやりたい!」という若い人がもっと出てきてくれるといいですよね。学校を出てすぐにぶどう農夫を目指すというのは、若い人にはなかなか難しい選択かもしれませんが。2018年9月下旬、私が栽培に携わらせてもらって、初めての自社畑のぶどう収穫がありました。自分たちで育てた我が子のようなぶどうを、マンズワインの他の部署の社員も総出で収穫しながら「ああ、このままずーっと収穫していたい」とさえ思いました。今までに感じたことのない多幸感に包まれている自分に気づきました。そのときに詠んだ一句です。
  六トンの重みを降ろす葡萄棚  正岡よしき(これは私の俳号です)

PROFILE

曽田淑木(そだ よしき)

マンズワイン株式会社 営業部 営業1課 栽培担当。(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ。1982年キッコーマン株式会社入社。同社にて商品開発、営業などを経て、2014年日本オリンピック委員会(JOC)に出向。2017年よりマンズワイン株式会社にて現職に就任。