INTERVIEW Vol.7

小諸ワイナリー工場長 武井千周

そこにしかない空気、文化、歴史
ワインの魅力を、勝沼から小諸から、より多くの方に

そこにしかない空気、文化、歴史
ワインの魅力を、勝沼から小諸から、
より多くの方に

生まれも育ちも山梨
ぶどうもワインも身近な存在

私は、生まれが山梨の塩山。当時、ワインはまだそれほど流通していないものの、子どもの頃からとても身近なものでした。東京農大で醸造科学を学ぶと決めた時から、いずれは地元に戻りワインを造ることを目指していました。マンズワインに入社した93年は、日本における記録的な冷夏の年で、ぶどうもダメージがありました。糖度が上がらず酸が残り、先輩と夜な夜な、酸を取り除く作業をしたことは忘れられません。1999年、フランス行きの機会を得てボルドー大学で3年間学びました。慣れない異国の地で、授業はもちろんすべてフランス語、それでも醸造士としてフランス国家資格を取得することができたのは、学び伝承することを大切にするマンズワインの理念があったからこそです。

ぶどうの実りを皆で歓び
大変な仕事も皆で楽しむ

ボルドーで学んだことは学問だけではありません。そこにしかない空気、ワイン造りの文化や歴史、そしてそこで出会った人達との縁。2年目の卒論研修で通ったシャトーでは、収穫時期に毎日、仕事が終わるとチーム全員で食事をしました。150人ほどで食べて飲んで、毎日が収穫祭です。ぶどうの実りを皆で歓び、大変な仕事も皆で楽しむという文化を肌で感じることができたのは、何にも代えがたい経験でした。若手社員を現地に派遣し続ける意義はそこにこそあると思います。良いワインを造るには、良いぶどうが必要です。良いぶどうを作るためには良い人間が絶対に必要です。人を育てるということを継続してこそ、良いワインを造り続けることができるのだと思います。

同じ銘柄、同じヴィンテージであっても
1本のワインとの出会いは一期一会

昨年、長年勤めた勝沼ワイナリーから、小諸ワイナリーの工場長に就任し、長野にまいりました。勝沼よりも寒さの厳しいこの地で栽培されるぶどうの大部分は、フラッグシップワインであるソラリスになります。昨年、勝沼ワイナリーからもソラリスの名を冠した2つのワインがリリースされました。ソラリスはマンズワインの中で常にトップレンジを担うという宿命があります。そのブランドをさらに極め、日本で、世界で「マンズワインにソラリスあり」と言われることを目指し、力を合わせてまいります。小諸ワイナリーは、四季折々の自然も美しい場所です。欧州のシャトーに庭園があるように、美しい日本庭園もあります。ソラリスのふるさと小諸から、日本ワインの素晴らしさをもっと伝えていきたい。ワインの魅力は「同じワインは2つとない」ということです。同じ銘柄の同じヴィンテージであっても、飲むタイミングで熟成具合も違います。その1本をいつ、どこで、誰と味わうかは、まさに一期一会。その歓び、思い出、ワインのおいしさだけでなく豊かさ楽しさを、私たち自身がまだまだ伝えきれていないと思っています。より多くの方にワインの魅力を知ってもらうこと。そのためにも、より良いワインを造り続けてまいります。

PROFILE

武井千周(たけい ちひろ)

マンズワイン株式会社 小諸ワイナリー工場長。1993年マンズワイン株式会社入社。ボルドー大学ワイン醸造学部で学び、ワイン醸造士国家資格を取得。研究開発部などを経て、2018年に現職就任。葡萄酒技術研究会エノログ部会部会員。