ソラリスの新たな挑戦
その土地のテロワールを表現する「ソラリス ラ・クロワ」

ソラリス 栽培・醸造責任者 西畑の想い

誕生から20年以上お客様からご愛顧いただいている「ソラリス」シリーズ。
常に進化を続けるソラリスは、味わいの良さはもちろんのこととして、近年はより日本のテロワール、その土地・畑の個性を表現することに取り組んでいます。
ラ・クロワは、上田市東山地区の単一畑で栽培するカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを使っています。2つの品種それぞれの最適なタイミングで収穫・醸造を行い、ブレンド比率は造り手が考えるのではなく、その年の収穫量そのままの比率でアッサンブラージュするという考えでワインに仕上げています。それにより、この先10年、20年とこの地でワインを造り続けていき、その年のその土地の味わいを、時間をかけて見つめていくことができると考えています。
ラ・クロワはヴィンテージごとに異なる豊かな表情を見せてくれます。その年の出来事を思い返しながら、これまで、また今後のヴィンテージの違いも楽しんでいただけたら嬉しいです。

小諸ワイナリー 栽培・醸造責任者
西畑 徹平

(十字路の角にあるラ・クロワの畑)

造り込まず、そのままに土地の特徴を表す

ソラリス ラ・クロワは、上田市東山地区にある約1haの自社管理の単一畑で栽培するカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを使用しています。場所が十字路の角にあることから「ラ・クロワ(十字路)」と名付けました。
大切に育てたぶどうは、その年の気候や土地の個性をより素直にワインへ反映させるため、ぶどうの糖度・酸度・タンニンの成熟の変化を慎重に見極めて収穫時期を決めています。手作業で丁寧に収穫・選果・除梗を行ったぶどうを、ステンレスタンクで発酵、樽で育成した後、壜詰め前にブレンド比率は造り手が調整するのではなく、その年の収穫量そのままの比率でアッサンブラージュします。この先も毎年同じ考え方でワインを造り続けてヴィンテージを重ねることで、気候の違いはあれ「ラ・クロワの土地の味わい」が解き明かされていくと考え、楽しみにしています。

挑戦の末にたどり着いたカベルネ・ソーヴィニョン、メルローの栽培適地「東山」

(空からの東山地区の自社畑、右下がラ・クロワの畑)

ラ・クロワの畑のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローは2008年に植栽されたものですが、そこまでには様々な挑戦がありました。
小諸の地でカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの栽培のチャレンジを始めたのは1989年、当初はカベルネ・ソーヴィニヨンは良いものができませんでした。
「カベルネ・ソーヴィニヨンにとって標高650mもある小諸は寒すぎるのでは?」と考え小諸よりも標高が100m低い上田市塩田平地区で契約栽培を開始しました。さらにカベルネ・ソーヴィニヨンの適地を求めて試行錯誤を重ね、1994年に現在の東山の地に植え付けを行いました。すると、今までにない高品質なぶどうが収穫されました。
「ソラリス 信州 東山 カベルネ・ソーヴィニヨン 2000」は第1回「国産ワインコンクール」(現日本ワインコンクール)で、欧州系品種・赤カテゴリー 優秀カテゴリー賞に輝き、当時の小泉首相主催の晩餐会でフランスのシラク大統領に提供されました。
また、2002年ヴィンテージはJALファーストクラス機内サービスに採用されるなど高い評価を受けるようになりました。
そして、この素晴らしい東山の土地をもっと表現したいという思いから2008年にはメルローも植え付けました。「ソラリス 東山メルロー」としてファーストヴィンテージとなった2015年は第16回日本ワインコンクールで金賞を受賞するなど、自他ともに認める傑出した品質となりました。

~後日、調査結果から分かったこと~

(粘土質の土壌の下には、太古の昔海底だったことを物語る丸い砂利が出土する)

実は、この東山の地は松林を開墾してつくったため、土地に肥料をつかっておらず、ぶどう栽培に適したやせた土地だったのです。また、海底が隆起してできた土壌で水はけがよく、完熟したぶどうが作りやすい環境であることもわかってきました。あきらめずに栽培適地を探し続けたことが、結果的に最適な土地を発見することに繋がったのです。

さまざまな特徴の畑をもつ「東山」

マンズワインが所有する東山の畑は、東西に約410m、南北に約370m、高低差もかなりあります。日当たりや水はけも異なるため、区画によってぶどうの樹も東西、南北と植え付けの方向が分けられています。それぞれの畑が異なる特徴を持ち、そこから造られるワインの味わいにも違いがみられます。栽培地が数メートル離れただけでも日当たりや土壌の違いから味わいが異なるのです。ラ・クロワの畑はマンズワインが所有する東山地区の畑の中で、最も南に位置しています。

自然のままに適正量の房をつけるラ・クロワの畑

ラ・クロワの畑、実はトップキュヴェに行うような一新梢一房というような強い収量制限を行っていません。もちろんなりすぎたものは落としますが、過剰に人が介入することなくぶどう自らが実らせたぶどうをそのままワインにすることで、よりその土地の個性を表現できるのではないかと考えています。また、(ぶどうの実という子孫を切り落とすという)過度のストレスを与えないということもぶどうの樹にとっても良い影響があるのかもしれないと考えています。ぶどうの樹自らが持つ生育バランスによって充実したぶどうが収穫できるこのラ・クロワの畑はまさにカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローにとって恵まれた土地なのではないかと感じていますが、そのメカニズムは今もまだ完全には解明されていないと、栽培・醸造責任者の西畑は語ります。
このように、ラ・クロワの畑は最小限の手入れでバランスの良いぶどうを収穫することができ、またビオロジック管理栽培にも取り組むことで、より自然に近い状態でその土地の味わいの表現を追求しています。まだまだわからないことも多いのですが、それぞれの土地のテロワールを最大限引き出すワイン造りに挑戦しています。

国内外で認められた「ソラリス ラ・クロワ」

2018年にファーストヴィンテージ「ソラリス ラ・クロワ2016」がリリースされ、単一品種のヴァラエタルワイン以外の新たな世界が広がっています。テロワールを表現するこの取り組みは国内外のコンクールでも高く評価されています。

(受賞歴)

ソラリス ラ・クロワ 2018

ソラリス ラ・クロワ 2019