マンズワイン 小諸ワイナリー 歴史の一ページ
ソラリス「龍眼」オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン

「龍眼」栽培の歴史は、このブランデーの元になるワインを醸し、蒸留し、熟成したマンズワイン小諸ワイナリーの誕生の歴史と重なります。
龍眼は長野県で「善光寺ぶどう」とも呼ばれる、元々はヨーロッパ系の品種で中国から日本に渡ってきたぶどうです。龍眼から造られるワインは、すっきりとした爽やかな酸味が特徴で、この酸味が蒸留中に豊かな香りを形成します。ワインは、フランスのコニャックから輸入した銅製の単式蒸留器で丁寧に二度蒸留され、オーク樽でゆっくりと熟成しました。
このブランデーは、龍眼から造ったワインを原料に、30年以上熟成した単一ヴィンテージの大変貴重なものというだけでなく、小諸ワイナリーのルーツが詰まった一本です。その歴史とロマンに想いをはせながら、長い時の流れだけがつくり出すことのできる本物の深い香りと馥郁(ふくいく)とした味わいを心ゆくまでご堪能いただければ幸いです。「ソラリス “龍眼” オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン」が、みなさまに至福のひと時をお届けできますことを、心より祈っています。
「龍眼」は長野県で「善光寺ぶどう」とも呼ばれるぶどう品種で、ルーツは「甲州」と同じくカスピ海沿岸に数千年前に自生していたカスピーカ亜系ヴィティス・ヴィニフェラ種と考えられています。シルクロードを超えて中国に入り、日本へもたらされた甲州と同じルートをたどりながら、遅れて日本にもたらされ、長野市周辺で栽培されたものと考えられます。
龍眼とマンズワインとの出会いは1967年。当時の3代目社長・茂木七左衞門が、長野市湯福神社近くの旧家に紫色のみごとな房をつけた大きなぶどう樹を見つけたのが始まりです。
甲州に続く日本ワイン用品種を探し求めていた茂木七左衛門は、当時の醸造学の権威、坂口謹一郎博士に意見を伺いました。そして「それはおそらく善光寺ぶどうだろう。研究したら良いワインができるかも知れない。」との言葉を頂きました。マンズワインは勇躍し、当時絶滅寸前ですでに幻のぶどうになりつつあったこのぶどうの調査・研究を開始します。そして、龍眼からワインを造るために現在の小諸ワイナリーが誕生しました。現在、その記念すべき原木は小諸ワイナリー内に移植され、その樹齢は100年を優に超えています。
その後、主に龍眼を原料とするワインを造っていましたが、1988年10月の季節外れの大雪で龍眼を栽培する棚のほとんどが倒壊してしまいました。大きな災害に見舞われましたが、ぶどう栽培をやめることなく欧州系のぶどう品種に植え替え、現在に至ります。
「龍眼」から造られるワインは、すっきりとした爽やかな酸味が特徴です。先人は「龍眼の特徴を活かした最高のお酒を造りたい」また、「龍眼の酸味を活かせばコニャックのような最高のブランデーを日本でも造れるのでは」という夢を描いていました。ブランデー原料としては酸とアルコールが蒸留過程でエステルを生成し豊かな香りを形成するため、龍眼のような酸の高いワインが適しています。
醸造したワインは、フランスのコニャックから輸入した銅製の単式蒸留器、「シャラント式アランビック」で丁寧に二度蒸留されます。一回の蒸留は1,500L程度で、蒸留するのに丸一日(9~10時間)かかります。1986年ヴィンテージの場合、5,764Lのブランデー用ワインから約470Lの原酒が得られました。
マンズワインは、フランス、コニャック地方でつくられた単式蒸留装置、アランビックを1965年に購入し(当時の価格でなんと560万円です)、勝沼ワイナリーでブランデーの蒸留を始めました。1973年、小諸ワイナリー竣工の際に勝沼から移設し、小諸でブランデーを蒸留していました。最後の蒸留は1989年でそれ以降使用はなく、アランビックは2007年に解体して売却しています。
1986ヴィンテージは、蒸留したブランデーの原酒約470Lをオーク樽で1986年からゆっくりと熟成しました。熟成の時を重ねている間に、毎年3%程度のブランデーが蒸発していきます。いわゆる「天使のわけまえ(エンジェルズ・シェアー)」と呼ばれるものです。それが33年間積み重なって、2020年に樽から出した時点で残った原酒は約128Lでした。天使に多くを献上することで、ますます美味しさが増したことでしょう。
2022年11月11日にアルコール度数40%に調整して、同年12月20日にびん詰をしました。700mlボトルで273本のみです。色素、カラメルなどの添加は一切しておりません。
小諸ワイナリーの歴史が詰まったブランデー、「ソラリス 龍眼 オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン」は1985、1986、1988、1989の4ヴィンテージ(※)限りの製造です。
※2025年3月現在、完売、未発売含む
「龍眼」から造られた白色のブランデー原酒が、どのような品質のブランデーに変身するか誰にも予想できなかった。長い年月のオーク樽での眠りから目覚めたブランデーをグラスに注いだ瞬間から部屋の中が上品で華やかな芳醇な香りに包まれた。
やや赤みがかったきれいな琥珀色、非常に豊かな華やかなエステル香、ヴァニラの香りを中心としたチョコレート、コーヒー、紅茶、ドライフルーツなど複雑さを形成しており、柔らかな舌触りと上品な甘さを持つ繊細な味わいが特徴的である。(マンズワイン常任顧問 松本 信彦)
「龍眼」から造られた白色のブランデー原酒が、どのような品質のブランデーに変身するか誰にも予想できなかった。長い年月のオーク樽での眠りから目覚めたブランデーをグラスに注いだ瞬間から部屋の中が上品で華やかな芳醇な香りに包まれた。
やや赤みがかったきれいな琥珀色、非常に豊かな華やかなエステル香、ヴァニラの香りを中心としたチョコレート、コーヒー、紅茶、ドライフルーツなど複雑さを形成しており、柔らかな舌触りと上品な甘さを持つ繊細な味わいが特徴的である。(マンズワイン代表取締役社長 島崎 大)
「龍眼(善光寺ぶどう)」との出会いに始まる小諸ワイナリーは、2023年に開設50周年を迎えました。樹齢100年を超える龍眼の原木はワイナリー内の日本庭園「万酔園」の一角にあります。これまでの半世紀に想いを馳せると同時に、次の50年、100年の未来に向けて、龍眼の原木を接いで新たな苗を植えました。接ぎ木式には小諸市長も参加くださり、小諸ワインの50年を祝うとともに次の50年へ向けて「高品質なワインをつくる」信念を、小諸の地でワインづくりに携わるぶどう栽培農家、ワイナリーのつくり手に受け継ぎ、ともに歩んでいく意を新たにしました。
小諸ワイナリー内にある、信州の風土を模した約3,000坪の日本庭園。「龍眼(善光寺ぶどう)」の原木もこの一角にあります。園内のぶどう文様の敷石は、きめ細かい愛知県産の三州瓦に手彫りで龍眼の装飾を施したもので、「ソラリス 龍眼 オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン」の化粧箱のふたの裏には、この敷石のモチーフをあしらいました。