開発担当者が語る、柑橘香る甲州のワイン「CITRAFT」誕生ストーリー
2026年8月25日、マンズワイン勝沼ワイナリーから、新商品「CITRAFT(シトラフト)2025 甲州 西高橋 中澤園(以下、CITRAFT)」が発売されます。これまでのマンズワインの甲州ワインにはなかった、爽やかな柑橘香が特徴のワインです。
このCITRAFTはどのようにして生まれたのでしょうか。その誕生の秘密を、ぶどう栽培とワイン醸造の2つの視点から、勝沼ワイナリー醸造責任者である宇佐美孝の語りをメインに紹介します。
マンズワインの新たな挑戦

日本固有の品種である甲州ぶどうからは、フレッシュ&フルーティーなワイン、旨味を引き出したワイン、樽を効かせたワイン、さらにはオレンジワインなど、さまざまなスタイルのワインが造られています。
マンズワインでは辛口から甘口まで、フレッシュな白ワインからコクのあるオレンジワイン、さらにスティルワインだけでなくスパークリングワインも含め、多様な甲州ワインを造ってきました。
そしてマンズワインがここ数年に渡って取り組んで来たのが、甲州ぶどうが持つ香りの一つである柑橘香を引き出しつつ、飲みごたえもあるスタイルのワインでした。CITRAFTはこの取り組みの結果、土地の個性、栽培家の情熱、そして造り手の技術が合わさって生み出されたワインです。
柑橘香る土地との出会い

山梨県各地で栽培された甲州ぶどうを使って試験醸造を重ねる中で、特定の地区の甲州ぶどうには柑橘香のもととなる香り成分の前駆体*が多く含まれている傾向があることがわかってきました。
それが甲府盆地のほぼ中央部、甲府市玉諸地区にある西高橋と呼ばれる地域。このエリアは砂質土壌で水はけがよく、日照にも恵まれたぶどう栽培に適した土地。収穫時期が周辺より早いのが特徴です。マンズワインは、この西高橋の甲州ぶどうに注目しました。
*香り成分の前駆体:それ自体は香りを持たないが、酵素や酵母の働きで化学変化し、揮発性の香り成分に変化する物質のこと
栽培家・中澤義英さんとの協働が、CITRAFTでは欠かせなかった

柑橘香の前駆体をぶどうの中にできるだけ多く残すためには、栽培段階から工夫が必要でした。従来の栽培管理のやり方を一部変更する必要があったのです。
マンズワインでは栽培農家の方々にこの取り組みについて説明し、一緒に挑戦してくれる栽培家を探しました。そこで手を挙げてくれたのが、西高橋地区・中澤園の栽培家 中澤義英さんでした。
中澤園の栽培面積は956m²、甲州の平均樹齢は15年~20年。園主の中澤さんは甲府盆地のぶどう農家としては比較的若く、基本に忠実な栽培管理を丁寧に実践している栽培家です。勝沼ワイナリー調達担当の深澤宙夢は「とにかく真面目で責任感が強い方。丁寧に手をかけた圃場は、いつ訪れてもとてもきれいです」と、中澤さんに厚い信頼を寄せています。

2025年、新たに栽培契約を結び、中澤さんとマンズワインによる柑橘香るワイン造りがぶどう栽培から始まりました。
中澤さんが手塩にかけて育てた甲州ぶどうは、病害の影響を受けることなく健全に育ち、初秋には美しい果実を実らせました。その出来栄えを、宇佐美は「選果が必要ないくらい健全な果実だった」と語ります。
香り前駆体のピークに合わせた収穫
柑橘香の前駆体は、ぶどうの生育とともにその量が変化します。ピークを捉えて収穫するため、CITRAFTに使うぶどうは、一般的な甲州ぶどうの収穫よりも5日程度早い時期に収穫しました。
さらに、その量は一日の中でも変化します。夜明け前に香り前駆体の量が多くなることがわかっていたため、収穫はまだ暗い午前4時30分から始まりました。
収穫したぶどうはすぐに勝沼ワイナリーへ運び込みます。そして香り前駆体をできるだけ損なわないよう、冷蔵庫で数時間冷却してから仕込みに入りました。
柑橘香を引き出すためのワイン造り

醸造工程に入ってからも、柑橘香を守るための工夫が続きます。大敵となるのが酸素。醸造中に酸化が進むと、せっかくぶどうが持っている柑橘系の香りにつながる成分が損なわれる可能性があります。そこでCITRAFTの醸造・製造工程では仕込みから瓶詰めまで、できる限り酸素との接触を減らす工夫を徹底しました。
1つ目は、低温でスキンコンタクトを行い、果皮に多く含まれる香り成分を丁寧に抽出した原酒。ぶどうが持つ柑橘の香りを最大限に引き出した華やかさを持ちます。2つ目の原酒ではぶどうが持つ力強さや旨味を表現。2種類の原酒をブレンドすることで、柑橘香の華やかさと厚みのある味わいが一つになり、豊かな旨味を感じられるワインへと仕上がりました。
「CITRAFT(シトラフト)2025 甲州 西高橋 中澤園」に込められたもの

ワイン名の「CITRAFT」は、英語で柑橘を表す「Citrus(シトラス)」と、クラフトマンシップにつながる「Craft(クラフト)」を組み合わせた造語です。ぶどう栽培からワイン醸造まで一つひとつ丁寧な仕事を積み重ねることで生まれた、華やかな柑橘の香り。その特徴を「CITRAFT」という名前で表現しています。
さらに、ワイン名には「西高橋 中澤園」と、ぶどうが育った土地と栽培家の名前が入っています。そこには、マンズワインが大切にしてきた「良いワインは良いぶどうから」というワイン造りの思想を伝えたいという思いがあります。
マンズワインにとって栽培農家の方々は、一緒に良いぶどうを育て、良いワインを造る、ワイン造りの大切なパートナーです。日々栽培農家と接する調達担当の深澤は「ワイン名に栽培農家の名前が入ることで、ぶどう栽培に一層力が入るのではないかと期待しています」と付け加えます。
また、ラベルに描かれた甲州ぶどうのイラストと「中澤園」の手書き文字は、中澤さんとの協働から生まれたもの。中澤さんの妹さんが習字に造詣が深く、そこで「中澤園」の文字と甲州ぶどうのイラストを描いていただきました。ワインの中身だけでなく、その名前やラベルにも、栽培家と造り手が一緒になって生み出したCITRAFTのストーリーが表現されているといえるでしょう。
まとめ
CITRAFTは、甲州ぶどうが持つ柑橘香の可能性を引き出した新たなスタイルのワインです。このワインは、甲府市西高橋という土地の個性、栽培家 中澤さんの丁寧な仕事、そして醸造・製造スタッフの技術と工夫が重なり合うことで生まれました。
レモン、オレンジ、ベルガモットを思わせる豊かな柑橘の香りを持ち、溌溂とした酸と果実味だけでなく、飲みごたえもあるCITRAFT。醸造責任者の宇佐美は「夏によく冷やして、すっきりとした爽やかさを楽しんでほしい」と語っています。
土地の個性を映したぶどうを活かし、栽培家の情熱と造り手の技術を結びつける。マンズワインは、これからも契約栽培農家の方々と一緒に良いぶどうを育て、良いワインを造っていきます。
CITRAFT(シトラフト)2025 甲州 西高橋 中澤園の詳細はこちら