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日本のワインで整える和の食卓〜「千曲川 龍眼」とのペアリング~

日本のワインで整える和の食卓〜「千曲川 龍眼」とのペアリング~

ワインと聞くと、異国の景色を思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし目の前で注がれたワインが、ここ日本の地で・日本の人の手によって、長い時間をかけて育てられてきたぶどうから出来たものだと知ったとき、そのひと口は少し違ったものに感じられるでしょう。

今回ご紹介するのは「千曲川 龍眼」。長野の土地とマンズワインの歴史が重なり合って生まれた白ワインです。

絶滅寸前の危機から蘇った「龍眼」

長野県では古くから「善光寺ぶどう」と呼ばれている品種の「龍眼」。長らく地域の人々に親しまれてきた品種です。シルクロードを通り、中国大陸を経由して、明治の初めごろに日本に持ち込まれたと伝えられており、長野市近郊で栽培が続けられてきました。

ところが1960年代に入ると次第に他品種に押され、絶滅寸前の状態に陥っていました。

その龍眼との偶然の出会いは、1967年、当時のマンズワイン社長茂木七左衛門が長野県のトマト畑を見回っていた際に、民家の庭先でたわわに実った濃紫色の大きな房をつけたぶどうの巨木を発見したことに始まります。その後、東京大学名誉教授の坂口謹一郎博士により、それは善光寺ぶどうであることが判明。研究すれば良いワインになることが予見されました。

長野県と協力して調査と試験醸造を重ねるうち、この品種のワインの成分組成、官能検査において甲州種ぶどうなどと比較して全く遜色がないことがわかってきます。1973年、小諸ワイナリーで本格的な醸造が始まり、龍眼はゆっくりと復活を遂げました。

それから50年以上の間、マンズワインはこの品種を途切れさせることなく大切に受け継いできました。千曲川 龍眼の一滴には、関わってきた人々の努力と歴史の積み重ねが込められており、日本人としての静かな誇らしさを感じさせてくれる1本です。

ワインの名前にある「千曲川」とは、長野県北東部を約100キロにわたって流れる川のこと。この流域は少ない降水量と長い日照時間、水はけのよい土壌を持ち、日本でも有数のぶどう栽培に適した環境です。マンズワインが1971年からこの土地に注目して契約栽培を始めたのも、そうした自然条件を見据えてのことでした。

龍眼という品種と千曲川という土地。2つが出会ったことによって生まれたのが、このワインなのです。

千曲川 龍眼 と和食に共通するのは「繊細さ」

「千曲川 龍眼」が持つ魅力は、華やかな香りや力強さよりも、穏やかで上品な味わいにあります。アタックは控えめで、小さな白い花や日本の柑橘を思わせる繊細なニュアンスがあり、口に含むとさわやかな酸味がすっと広がります。後味はすっきりとしており、料理の味を邪魔することがありません。

これらの繊細な個性から、自然と合わせてみたくなるのが和食です。特別なご馳走ではなく、日々の食卓に並ぶ魚や野菜・出汁を生かした食事を。日本人にとって馴染み深い風味と相性が良いのが、このワインの大きな魅力です。

和食にワインを合わせようとすると、なかなかうまくいかない・合いにくいと感じることも少なくないはずです。ペアリングを考えようとしたとき、よく起こりがちなのがワインの香りや酸味が料理とぶつかってしまうこと。これは「和食とワインが合わない」のではなく、しばしば「和食の持つ繊細さをワインが上書きしてしまう」ことがあるためです。

では、なぜ龍眼や甲州のような日本の品種だと違和感が少ないのでしょうか。

理由のひとつは、香りの出方にあります。龍眼も甲州も、一般的な国際品種と比べると香りの主張が穏やか。柑橘や白い花の香りはありますが、強い主張はせず、料理の風味を邪魔しません。

もうひとつの理由は、酸味が比較的やわらかいこと。酢の物や柑橘を使った料理を除くと、和食はそもそも強い酸味をあまり持ちません。だから酸が鋭いワインよりも、やわらかいワインのほうがなじみやすいのです。

和の食材と味わう「千曲川 龍眼」

「千曲川 龍眼」が和食に合わせやすい理由をひと言で表すなら、「香りではなく、うま味で語るワインだから」。

華やかなアロマで印象づけるのではなく、料理とともに味わったときに真価を発揮するタイプのワインです。その個性は、実際に和の食材と合わせてみると、より鮮明に感じられるでしょう。

魚介や出汁のうま味と合わせて、素材の味が引き立つ

白身魚の刺身や昆布締めをはじめ、タコやホタテのカルパッチョ、季節の素材を使った蒸し物、出汁を生かした和え物や煮物などと、ぜひ合わせてみてください。競い合うのではなく、それぞれの魅力を引き立て合う龍眼の持ち味がよく味わえます。

和食では、素材そのものが持つ味だけでなく、昆布や鰹節の出汁によってうま味が重ねられることが少なくありません。国際品種の白ワインの中には、果実の香りや酸味が豊かなスタイルも多く、その個性が和食の繊細な味わいの印象を上回ってしまうこともあります。

「千曲川 龍眼」は、穏やかな香りとやわらかな酸味によって、料理の風味を覆い隠さず、素材が持つうま味をより鮮明に感じさせてくれます。

和柑橘や香味野菜と合わせ、香りをつなぐ

柚子やすだち、大葉、みょうが、木の芽など、日本の食卓には香りを楽しむための食材が数多くそろっています。こうした繊細な香りは、ワインとの組み合わせが意外に難しいもの。主張の強いワインを合わせてしまうと、どちらか一方の印象だけが勝ってしまうことがあるからです。

柚子胡椒をかけたせせりや、刻んだ香味野菜をたっぷりと添えた冷しゃぶ、大根おろしにすだちやかぼすをぎゅっと搾った揚げ物などと合わせてみるのがおすすめです。料理とワインがひとつの味わいとして感じられる感覚を楽しめるでしょう。

「千曲川 龍眼」とこうした食材を合わせると面白いのは、ワインと料理の境界が曖昧になることです。ワインの持つ柑橘や白い花を思わせる香りが、料理の香りと自然につながり合い、一体感が生まれます。

思い込みを覆す「発酵食品」とのペアリング

ワインと漬物、あるいは味噌や酒粕。そう聞くと少しチャレンジングに感じられるかもしれません。味噌や酒粕、漬物などの発酵食品には独特の香りと深いうま味が備わっています。香りの強いワインを合わせてしまうとそれぞれの個性がぶつかり合ってしまうこともありますが、「千曲川 龍眼」はこうした日本の発酵食品とも、不思議なほど自然になじみます。

その理由もやはり、料理と合わせたときにうま味の調和が感じられるワインだからでしょう。発酵食品が持つほのかな酸味や塩味、複雑な風味と向き合うと「ワインにこんな合わせ方があったのか」と、それまでの思い込みが覆されていきます。

クリームチーズやフレッシュチーズの粕漬け、季節野菜の浅漬けや軽めの糠漬けなどと合わせてみると、日本の食卓で親しまれてきた味わい同士ならではの静かな調和を楽しむことができます。

受け継がれた1杯を和の食卓で味わう

外国の文化から生まれたワインは、日本人にとってどこかまだ非日常のイメージがあり、「ワインを飲む日は、チーズやパスタを用意しなければ」などと考えてしまいがち。しかし「千曲川 龍眼」を飲んでみると、日本の日常によく馴染むことが感じられるでしょう。

磯の香りが味わえる刺身や漬物、出汁の効いた揚げ物、柚子や大葉が香る料理。日本人が普段から食べ慣れてきた料理が、そのままこのワインの相手になってくれるからです。

一時は絶滅の危機にあった龍眼。50年以上の歳月をかけて長野の地で守り継がれてきたことの意味も、そこにあるのかもしれません。日本の風土の中で受け継がれてきたぶどうから造られたワインを日本の食卓で味わう。そこには難しいペアリングの理屈を持ち出すまでもなく、自然にそうしたくなるような心地よさがあります。

和食と並べたときに感じる、「ワインなのに、なんだかしっくりくる」という穏やかな満足感。その小さな驚きと自然な調和こそが、このワインが持つ最大の魅力なのかもしれません。

龍眼の詳細はこちらから

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