INTERVIEW Vol.3

勝沼ワイナリー 醸造責任者 宇佐美 孝

甲州とマスカット・ベーリーAにさらなる付加価値を
「可能性」と「切り口」は無数にある…はずだ

歴代研究者の技術と想像力を受け継ぎ
この先の社会に
貢献できる商品を造り続ける

研究開発の積み重ねから
新たなチャレンジが生まれる

私は、山梨大学で放線菌やぶどうのDNAなどの研究をしていました。マンズワイン入社後は、製造の経験を経て研究開発に携わり、その後、工程改善プロジェクトの事務局を1年ほど勤め、入社10年目に新世界のワイン醸造を学ぶべく、オーストラリアのアデレード大学へ留学しました。帰国後は研究開発課を経て、現在は商品開発部に籍を置き、勝沼ワイナリーの醸造責任者を務めています。マンズワインは親会社がキッコーマンであるという強みを武器に、できることがあります。ぶどうの仕込み量は山梨県内で最多、アイデア次第でいろいろなワインを造るチャンスがあります。2018年には勝沼ワイナリーで醸造する「ソラリス」として、甲州とマスカット・ベーリーAの新アイテムをリリースしました。

良いワインは一人では造れない
「皆で造っている」ことを日々実感

日本固有のぶどう品種である、甲州とマスカット・ベーリーAは、勝沼ワイナリーにとって、全員が誇りを持ち共に取り組んできた大切な財産です。新たにリリースする商品を「おいしい」と言っていただけることは、皆で力を注いだ結果なので、とてもうれしく思います。さらに付加価値のあるワインを造る「切り口」はいくらでもあります。でもそれは一人の力では造れません。新しいワインを商品化するためには、栽培や醸造の現場を担う人たちに大変な苦労と手間を強いることになります。「こういうワインを造ってみたい」というプランを伝えることで、皆が労を惜しまず力を注いでくれる。マンズワインのワインは、このようにして皆で造っているのだと、日々感じています。

マンズワインの新しい物語を
造り手の皆で伝えていくこと

勝沼ワイナリーのうら庭には、2015年に購入した自社農園があり甲州を栽培しています。2018年の初生りを仕込みながらイメージしたのは「初物が好きな方や、今後のぶどうの成長を楽しみにしてくれる方に飲んでいただきたいな」ということ。手に取って、飲んでもらうためには、そのワインの背景にあるストーリーを伝えることも大切だと思っています。例えば、マンズワインのOBには、栽培農家さんとしてつながっている人がいます。生産量は少ないものの、手入れの行き届いた質の高いぶどうを毎年提供してくれる。そんな畑ごとの物語も、ワインを通して皆さんにもっとお伝えできたらと思います。でも実は、私自身は人としゃべることが苦手なんですよね。マンズワインの造り手の中には、私みたいなちょっと変わり者もいる、ということもお伝えできれば…。入社以来、長年研究を続けているワインですが、「熟成」というのは本当に不思議な現象です。今年できあがったワインが5年後にどのような味わいになるのか、頭の中だけではわからない。もっともっと経験を重ねて、もっと知りたいと私自身も思っています。

PROFILE

宇佐美 孝(うさみ たかし)

マンズワイン株式会社 商品開発部 部長、勝沼ワイナリー醸造責任者。1999年マンズワイン株式会社入社。製造、研究開発、工程改善プロジェクト事務局などを経て、オーストラリアのアデレード大学で醸造学を学び帰国。2016年研究開発課 課長就任。2018年より勝沼ワイナリーの醸造責任者を務め、2019年より現職を兼務。